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1 次元 Ising モデルは、転送行列の方法を使って解くことができる。
(の場合には簡単に解く方法もあるが、重要な手法なので転送行列
を用いる。)
-自由度系を考え、周期的境界条件: とする。
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(16) |
ここで、、。
因子の積で表すと、
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(17) |
ここで、それぞれの項を、行列の要素とみなす。
例えば、
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(18) |
即ち、、が次のような行列のラベルであると解釈する。
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(19) |
このとき、
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(20) |
と相似変換を行うことが出来る。
ここで、、 は、のふたつの
固有値とし、
とする。
これらは容易に次のように求まる。
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(21) |
従って分配関数は、
これより、自由エネルギー密度は、
の極限で、
となる。
では、実の 、に対して は解析的、
即ち相転移は存在しない。
非解析的になるのは、2乗根の中がゼロとなり、
となる場合か、となる場合
であるが、これは、次の Perron の定理によって斥けられる。
Perron-Frobenius の定理:
行列 で (for all )
について、その最大の固有値は次の性質を持つ:
(a) 実、正定値、(b) 非縮退、(c) の解析的関数。
これによって、 では相転移が起こらないことが結論づけられる。
これは、1次元の場合の特徴である。
1次元では転送行列は 行列であったが、
2次元以上の場合には、転送行列は熱力学極限では
の行列となり、Perron-Frobenius の定理は適用できない。
1次元で
、従って
の場合を考える。
この時、
であるので、
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(26) |
では、に対し、では非解析的。
磁化は、
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(27) |
まず、の場合。
このとき、自由エネルギーは、
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(28) |
内部エネルギー
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(29) |
比熱
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(30) |
磁化
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(31) |
とそれぞれなる。
ここで、 は、すべて上(あるいは下)向きのスピンの
配位に対して、ひとつのスピンだけがフリップした状態の
相対確率に対応する。
等温磁化率 は次の式で定義される。
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(32) |
が小さい時、
より、
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(33) |
この近似の時、磁化率 は、
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(34) |
高温と低温での極限では、
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(35) |
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Hideo Matsufuru
2006-06-16