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1 次元 Ising モデルは、転送行列の方法を使って解くことができる。
(
の場合には簡単に解く方法もあるが、重要な手法なので転送行列
を用いる。)
-自由度系を考え、周期的境界条件:
とする。
![\begin{displaymath}
Z_N(h,K) = \mbox{Tr}\exp\left[ h\sum_i S_i + K \sum_i S_i S_{i+1} \right]
\end{displaymath}](img60.png) |
(16) |
ここで、
、
。
因子の積で表すと、
![\begin{displaymath}
Z_N(h,K) = \sum_{S_1} \sum_{S_2} \cdots \sum_{S_N}
[ e^{ \...
...S_2 S_3 } ] \cdots
[ e^{ \frac{h}{2}(S_N+S_1) + K S_N S_1 } ]
\end{displaymath}](img63.png) |
(17) |
ここで、それぞれの項を、行列の要素とみなす。
例えば、
![\begin{displaymath}
T_{S_1 S_2} = [ e^{ \frac{h}{2}(S_1+S_2) + K S_1 S_2 } ]
\end{displaymath}](img64.png) |
(18) |
即ち、
、
が次のような行列
のラベルであると解釈する。
 |
(19) |
このとき、
 |
(20) |
と相似変換を行うことが出来る。
ここで、
、
は、
のふたつの
固有値とし、
とする。
これらは容易に次のように求まる。
![\begin{displaymath}
\lambda_{1,2} = e^K \left[ \cosh(h) \pm \sqrt{ \sinh^2(h)+e^{-4K} }
\right]
\end{displaymath}](img73.png) |
(21) |
従って分配関数は、
これより、自由エネルギー密度は、
の極限で、
となる。
では、実の
、
に対して
は解析的、
即ち相転移は存在しない。
非解析的になるのは、2乗根の中がゼロとなり、
となる場合か、
となる場合
であるが、これは、次の Perron の定理によって斥けられる。
Perron-Frobenius の定理:
行列
で
(for all
)
について、その最大の固有値は次の性質を持つ:
(a) 実、正定値、(b) 非縮退、(c)
の解析的関数。
これによって、
では相転移が起こらないことが結論づけられる。
これは、1次元の場合の特徴である。
1次元では転送行列は
行列であったが、
2次元以上の場合には、転送行列は熱力学極限では
の行列となり、Perron-Frobenius の定理は適用できない。
1次元で
、従って
の場合を考える。
この時、
であるので、
 |
(26) |
では、
に対し、
で
は非解析的。
磁化は、
 |
(27) |
まず、
の場合。
このとき、自由エネルギーは、
![\begin{displaymath}
F=-k_BTN[K+\log(1+e^{-2K})]
\end{displaymath}](img103.png) |
(28) |
内部エネルギー
 |
(29) |
比熱
 |
(30) |
磁化
 |
(31) |
とそれぞれなる。
ここで、
は、すべて上(あるいは下)向きのスピンの
配位に対して、ひとつのスピンだけがフリップした状態の
相対確率に対応する。
等温磁化率
は次の式で定義される。
 |
(32) |
が小さい時、
より、
 |
(33) |
この近似の時、磁化率
は、
 |
(34) |
高温と低温での極限では、
 |
(35) |
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Hideo Matsufuru
2006-06-16